2020年12月23日(水)13:00 ~
オンライン開催(Zoomを利用予定)
13:00 ~ 13:05 開会の挨拶(世話人代表 片田)
13:05 ~ 13:50 「弱酸点を持つ炭素によるセルロースの加水分解」小林広和(北海道大学)
13:50 ~ 14:35 「固体表面の酸・塩基触媒の特質:ゼオライトはなぜ特別なのか?」野村淳子(東京工業大学)
14:45 ~ 15:30 「モノレイヤー状酸化物に生成する酸点について」宍戸哲也(東京都立大学)
参加費:無料(ただし,参加申込は必須です)
参加申込: otomo@ees.hokudai.ac.jpに,氏名,所属,役職,連絡先をご連絡ください.研究室,部署ごとにまとめてお申し込みいただけますよう,お願い申し上げます.当日受付はございませんので,ご注意ください.
参加申し込み期限:2020年12月16日(水)
お問い合わせ先:中島清隆(北大触媒研),大友亮一(北大地球環境科学)
お申し込み先:otomo@ees.hokudai.ac.jp
共催:触媒学会 固体酸塩基点の作用と設計研究会,鳥取大学工学部附属GSC研究センター
協賛:日本化学会北海道支部,北海道大学触媒科学研究所
講師,講演内容の紹介(①ご所属,②研究室Webページ情報,③講演概要):
小林広和 先生
①北海道大学 触媒科学研究所,②http://www.cat.hokudai.ac.jp/fukuoka/,③セルロースは最も豊富なバイオマスであり,資源としての活用が望まれる一方,分子内・分子間水素結合とファンデルワールス力によって強く会合した構造を持つため,その選択的な分解は困難である.我々は,固体触媒によるセルロースの加水分解に取り組み,カルボキシ基などの弱酸点を持つ炭素が非晶質セルロースを分解できることを見出した.反応機構の検討を行い,炭素の多環芳香族が分散力によってセルロースを吸着することによって接触が形成され,さらに複数の含酸素官能基がセルロースと水素結合を形成することで,弱酸点によるセルロースの加水分解が起こることを提案した.
野村淳子 先生
①東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所,②http://www.res.titech.ac.jp/index.html/,③固体酸触媒について色々と調べていくと,トリガーとなるのは酸点ではあるが,対となる塩基点が協奏的に反応を促進していることが多い.代表的な酸触媒であるゼオライトの場合,比較的低温領域ではAlを挟んだ位置にある「酸性水酸基」と「格子酸素」が対となって反応の活性点となる.高温になると,酸性水酸基の結合が切れ,ゼオライトの格子酸素全体がアニオン性を担い,プロトンが骨格を動き回る様式の「酸塩基対」となっていることが示唆された.この様子はアルカリ金属カチオン型ゼオライトのマイナス電荷分布にも類似しており,通常の金属酸化物表面には観られない「広域にわたる電荷の非局在化」が,ゼオライト特有の酸塩基触媒作用の起源であると考えられる.
宍戸哲也 先生
①東京都立大学 都市環境化学研究科 環境応用化学,②http://www.comp.tmu.ac.jp/shishidolab/,③二次元的に担持された酸化物上に発現する特異な酸点について議論する.例えば我々は,Al2O3を担体としてモノレイヤー状に担持されたNb2O5, Ta2O5, MoO3, WO3についてブレンステッド酸点が生成し,担持する酸化物がモノレイヤーを形成する担持量付近で最も酸触媒反応に対する活性が高くなることを見出している.また,これらの例だけでなく単層担持されたあるいは数原子層程度の厚みを持ち二次元的に成長した金属酸化物すなわち,顕著な異方性を有する金属酸化物の表面に酸性質が発現する例が相次いで報告されている.酸化物モノレイヤー構造は,固体表面における酸性質の発現機構を考える上で有用なモデル構造の一つであると考えられる.