ごあいさつ

会長メッセージ

2020年6月1日

令和2年度 触媒学会会長
田中庸裕
TANAKA Tsunehiro
(京都大学)

 新型コロナウイルス感染拡大のピークがようやく過ぎて,あらゆることの再開と刷新が始まっています。新たな感染拡大が起こらぬよう,日々,細心の注意を払っておられることと思いますが,それでも,これまでの幾分かの生活感は取り戻し始めておられるのではないかと拝察いたします。

 本年5月15日の令和2年度第1回理事会におきまして触媒学会の会長に選任されました。今後1年間,他の理事と協力し,会員の皆様方のご意見を広く取り入れ,触媒学会の運営とより一層の活性化のために全力を尽くして参りたいと思います。ご協力をどうぞお願いいたします。

 今般のコロナ禍のために,未来の世界は,生活様式,人的交流の仕方はもちろんのこと,物事の仕組みが,大きく変わるでしょう。
 以前からも重要視されてはおりましたが,学会にとっては,発信力がますます問われる時代になってきました。これまで,触媒学会では,討論会,研究会,各種委員会,懇談会等を通して,産学を問わず会員間相互の情報交換,交流が図られその結果や所産を発信してきました。今後は,片方向だけの発信だけではなく,双方向,多方面への発信力が必要となってきます。すなわち,触媒学会それ自体が,情報ハブとなってタイムラグなく多種多方面の人々を物質的,電子的に結びつけ,即座の情報・意見交換や,共同研究,共同開発の「触媒」として働くことが求められるものと思います。そのためのICTの充実を重要視していきたいと考えます。それによって,触媒学会会員だけでなく,一般の方々,小・中・高校の生徒さん達への啓発を含めた情報発信を行なっていく。この方針は,前会長のレガシーをより大きく膨らませ,充実させることを目指したものです。
 さらに述べたいことは,今秋の触媒討論会の開催に関することです。前年度理事会において,触媒学会の存在理由の一つでもある触媒討論会の実施方法について活発な意見交換がなされ,連休前にWeb討論会ワーキンググループが急遽立ち上げられました。そして連休中に,Web討論会ワーキンググループに加え討論会委員会,実行委員会各委員のリモートワークながらも昼夜を問わない懸命な努力により,静岡大学(浜松)における第126回討論会が,web開催と現地開催を併用するという新しい形で実現することになります。この新たな試みは,単に事態の危険性を回避して安全を担保するためのものというだけではなく,今後の討論会の在り方自体を見直す機会になるものと思われますし,触媒学会から発信されるコンテンツの幅を広げることにもつながるものと確信しております。

 次に,次世代の育成に関してです。次の世代が育たないと未来の触媒学会は成り立ちません。若い人たちの,学会活動への積極的な参加と意見を吸い上げることが重要であります。
 触媒学会は,「若手会」としての学生会員を中心とした活動を奨励して参りました。いうまでもなくこのような活動をこれまで以上に続けていくことは必須です。一方で,10年後,20年後の触媒学会を支えリードしていく30代から40代の中堅会員の産学にまたがる学会活動や人的交流を促すことも極めて重要です。明日の触媒学会は彼らが担うのです。それが可能になるような具体的な仕組みを作っていきたいと考えています。

 今年予定されていたICC(触媒国際会議)は延期になるという気配でありますが,それにもかかわらず,2024年ICCの日本招致に関しては,最大限の努力をお願いし,学会全体で機運を高めていきたいと思います。

 基礎から応用まで多岐にわたり,分野を超えて境界領域を広げ,様々な研究や技術開発が存在することが触媒学会の大きな強みです。世代を越えた会員の皆様方の人と人とのつながりを深めることによってこの強みを分かち合いたい。皆様方からご意見をいただき,触媒学会のさらなる進化につなげたいと思っています。