ごあいさつ

新年のご挨拶    ーデジタル革命とSDGsー

令和4年1月1日

令和3年度 触媒学会会長
朝倉清高
ASAKURA Kiyotaka
(北海道大学)

新年のご挨拶をさしあげます.

 令和もはや4年たちました.COVID-19が蔓延し、2020,2021年は失われた2年間だったかもしれません.ただ 失われた過去にとらわれても、戻ってきません. 2022年という新しい年を創造しましょう。
 今年は、COVID-19の感染拡大も落ち着き、少しずつ、元の生活に戻っていくことになると思います。でも完全に元に戻るのでしょうか? それは許されないと思います。SDGsの目標年でもあり、COP26における目標年でもある2030年に向けて、着実に歩み始めないといけないのが2022年であります。
 気候変動など人類が抱える問題は、触媒が積極的に取り組み解決できる課題です。そして残された8年で達成しないといけないということは、とても大変なことと思います。しかし私たち触媒学会はその議論の中核となり、学会員の協奏を促し、さらなる前進を駆動したいと思っています。
 この2年間で私たちは単にStay homeし、引きこもっているだけではありませんでした。デジタル 技術をつかい、リモート討論会を実現しました。2年前に将来検討委員会で議論され、提案されていましたが、よもやこれほど早く実現するとはだれも思っていませんでした。理事会も代議員会もオンラインです。わざわざ北海道から東京に来なくても会議に参加できてしまいます。これは、資源の無駄をなくし、時間の無駄をなくしたという革命的な事件です。(そのかわり、会議に出ない言い訳がなくなりましたが、)COVID-19が収まり対面が増えるでしょうが、このデジタルの良さを生かし、対面と組み合わせて、より活発な議論に発展させることができます。対面で議論する良さもあります。酒を酌み交わしながら、様々な議論をすることも大切ですが、それ以外のコミュニケーションツールを活用することで、学会がさらに豊かな交流の場になることが期待されます。これにより人類共通の課題の達成を加速できると思います。
 学会は情報交換の場でありますが、情報を集積し、公開する場でもあると思います。ここにもデジタルの技術は有効に働きます。これまでは,学会、研究会と機関誌が主な情報交換の方法であり、両方とも紙に残すことで、情報の蓄積や伝達が可能でした。デジタルが入ることで,情報をさらに容易に、多様な形で蓄積できるようになり、共有することができるようになります。紙では伝えられないことも、伝えることができるかもしれません。そうして蓄えられた知財を有効活用し、触媒の科学・技術の発展を加速することができます。これももう一つの革命です。AI(人工知能)によりその知識を体系化し、新しい形で提示されるようにもなるでしょう。単純な10101という記号を電磁的に記録することで、さらにその記録の質も量も飛躍的に増大しました。これを活用しない手はありません。今年、このデジタル革命が触媒学会を大きく変化させ、発展させると期待しています。
 さて、 SDGsにむけて触媒の果たす役割が大きいと述べました。今年はSDGsのもう一つの目標を進展させることができると思います。5番目のジェンダー平等の実現です。これまで、触媒学会に女性の理事さんはいなかったと聞きますが、いよいよこの5月からの新理事会に、女性の理事さんを迎えようとしています。これが実現することで、ジェンダー平等への第一歩を記せると思います。ジェンダー平等など声高に叫ばなくてもふつうに女性会長が出る時代が到来することをのぞみつつ。2022年がその幕開けになってくれることを期待します。
 COVID-19により私たちはとても傷つきました。しかし、デジタルという武器を手にいれました。この新しい武器をもとに、2022年という新しい年をスタートさせましょう。

 最後に触媒学会の原点は ”腹蔵なく胸襟を開いて愉快に共通する触媒学を語り合う場”にあると思います。時代がどんなに変化してもこの点を忘れずに活動していきたいと思います。

会長メッセージ

令和3年5月20日

令和3年度 触媒学会会長
朝倉清高
ASAKURA Kiyotaka
(北海道大学)

 このたび令和3年度の会長に選任されました。責任の重さを感じつつ,会員の皆様のご協力の下,理事の方々とともに,触媒学会を運営したいと思います。

 私の責務は若手育成,国際交流および産官学連携という3つの重要な視点に加えて,新時代に対応した触媒学会への変革を進め,2028年のICC招致に向けた活動の道筋をつけることと思っております。
 今後,新時代への対応のキーワードは,“電子化”と思います。”電子化”に関して,触媒学会は着実に進めています。触媒誌の電子化,ホームページ(https://www.catsj.jp)の新装がなされました。COVID-19感染拡大防止のため,対面での会議・討論会・研究会がネット化されました。しかし,どこかのタイミングで,必要なものに関して現地に集まる会議を再開したいと思います。特に若い人が合宿して夜通し議論することは大切です。他方,ネット化は,新しい知識を得たくても距離や時間,お金の制約で出られなかった研究会や討論会への参加を可能にしました。支部活動も含めて現地開催とネット開催をうまく組み合わせる方策を模索したいと思います。またネット配信には“知財“という難題があります。学会の活動を通して得た知識を学会員や社会に発信し活用することは,学会員の利便性の向上と研究の発展,社会貢献という点から学会の本義と思います。一方で,こうした知財を有効に利用し収益力を確保して学会を持続させることも必要です。社会への貢献という公益性と学会としての収益力,第3者の知財を犯さないという3点を両立させ,知財の有効利用を進めたいと思います。
 もう一つの重要な課題は2028年のICC招致を目指した活動です。一つ取り組むべきこととして英語Webサイトの英語コンテンツを日本語サイトと連動させ,最新性を確保する方策が考えることです。これは,ICC2028の招致のみならず,増加しつつある留学生や外国人研究者に対する学会員メリットになります。もう一つ取り組むべきことは執行部に女性の方を登用することです。理事会に女性がいないことは,国際的にみて不自然ですし,学会活動に女性研究者の新しい視点を取り入れることは,新たな発展への可能性を与えることと思います。
 2023年に新第3世代光源である東北放射光が立ち上がります。放射光はXAFSをはじめ,新しいキャラクタリゼーション手段を私たちに与えました。新しい放射光で実現する科学を議論し,ビームラインを提案することで,触媒科学の発展につなげたいと思います。若い人たちを中心に議論をし,来年の触媒討論会で,全体で議論ができればと思います。

 最後に触媒学会の原点は”腹蔵なく胸襟を開いて愉快に共通する触媒学を語り合う場”(斯波忠夫,触媒 Vol 1(1959))と思います。この観点を忘れずに活動していきたいと思います。よろしくお願いします。