年始のごあいさつ
令和3年1月1日
みなさま,あけましておめでとうございます。「静かな」年末年始をお過ごしであったと思います。
昨年は,春の期待感も,夏のイベントも,秋の景色も感じないまま気がついたら冬が到来していました。
21世紀になってから,頻繁に日本は災厄に見舞われています。昨年は,それが世界的災厄でありましたけれども。今回は長丁場を覚悟せねばならないのでしょうか。
私の見方では,昨年11月末から12月初旬に「第3波」がピークを迎えていて,これまでとは異なる感染様式の「第4波」がそれに重畳してきていると言うものです。第4波がピークを迎えるのは1月中旬になるのではないかと予想しています。この予想が現時点で外れていて,感染が収まり始めていることを大いに期待しています。
9月の第126回触媒討論会は,当初,現地・オンラインのハイブリッドで開催を予定しておりましたが,ご承知のように,対面が不可能な状態となり,完全web開催となりました。それでも,これまでとは変わらない1000人に迫る多くの方々のご参加を得て盛会となりました。みなさまには,篤くお礼を申しあげます。また,多くの方が真摯に,アンケートにご意見を寄せてくださいました。今後の触媒討論会の運営方法の向上に向けて非常に有意義なご意見を頂戴いたしまして,こちらにもお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
言うまでもなく,静岡大学の現地実行委員会,討論会委員会,web討論会ワーキンググループのメンバーの努力なくては,悲願の討論会の企画,開催は不可能であったでしょう。メンバー各位を労うとともに,周到な準備とスムーズな討論会運営に対しメンバー各位に心より敬意を表したいと思います。
多くの方は気がついておられると思われます。今回の情況に鑑み,講演会,シンポジウムなどの行事がオンラインで開催されているのですが,そのほとんどの行事では参加人数がこれまでに比べ増加しています。空間の制約を破ると言うことは,同時に,時間の制約を緩和することにもなるのです。これはCOVID-19の功罪の「功」にあたるでしょう。現地開催でなくオンライン開催であれば,もはや,地区や支部といった空間的なものが意味をなさなくなってくる。すなわち,私たちにとって多様な会議様式,集会形態が生じてきたことを意味します。情報発信のダイバーシティが高まったと言うことになります。
さて,遅まきながら,触媒学会では,SNSの運用を開始いたします。(右下を見てください。) 会員のみなさまに情報発信をするだけでなく,広く多くの方々に触媒学会の魅力を伝えることができないだろうか,と思っています。
現在触媒学会では,ICTの活用を含め2019年度末に報告された「触媒の未来を考えるワーキンググループ」からの提言をもとにして急ピッチで学会の改革を進めているところです。
次なる私たちの目標は,千葉大学における第127回触媒討論会の開催です。通常のB討論,ポスター発表に加え,今回も特別シンポジウム「機能性材料開発を支える触媒技術」,「光・電気・電場が係わる革新的反応」が開催されます。現場・オンラインのハイブリッド会議を予定しておりますので,皆様におかれましては,是非,ご来場,ご参加いただきたいと思います。
千葉で皆様にお会いできることを心より祈っております。
今年も皆様にとって素晴らしい年になりますように!
会長メッセージ
2020年6月1日
新型コロナウイルス感染拡大のピークがようやく過ぎて,あらゆることの再開と刷新が始まっています。新たな感染拡大が起こらぬよう,日々,細心の注意を払っておられることと思いますが,それでも,これまでの幾分かの生活感は取り戻し始めておられるのではないかと拝察いたします。
本年5月15日の令和2年度第1回理事会におきまして触媒学会の会長に選任されました。今後1年間,他の理事と協力し,会員の皆様方のご意見を広く取り入れ,触媒学会の運営とより一層の活性化のために全力を尽くして参りたいと思います。ご協力をどうぞお願いいたします。
今般のコロナ禍のために,未来の世界は,生活様式,人的交流の仕方はもちろんのこと,物事の仕組みが,大きく変わるでしょう。
以前からも重要視されてはおりましたが,学会にとっては,発信力がますます問われる時代になってきました。これまで,触媒学会では,討論会,研究会,各種委員会,懇談会等を通して,産学を問わず会員間相互の情報交換,交流が図られその結果や所産を発信してきました。今後は,片方向だけの発信だけではなく,双方向,多方面への発信力が必要となってきます。すなわち,触媒学会それ自体が,情報ハブとなってタイムラグなく多種多方面の人々を物質的,電子的に結びつけ,即座の情報・意見交換や,共同研究,共同開発の「触媒」として働くことが求められるものと思います。そのためのICTの充実を重要視していきたいと考えます。それによって,触媒学会会員だけでなく,一般の方々,小・中・高校の生徒さん達への啓発を含めた情報発信を行なっていく。この方針は,前会長のレガシーをより大きく膨らませ,充実させることを目指したものです。
さらに述べたいことは,今秋の触媒討論会の開催に関することです。前年度理事会において,触媒学会の存在理由の一つでもある触媒討論会の実施方法について活発な意見交換がなされ,連休前にWeb討論会ワーキンググループが急遽立ち上げられました。そして連休中に,Web討論会ワーキンググループに加え討論会委員会,実行委員会各委員のリモートワークながらも昼夜を問わない懸命な努力により,静岡大学(浜松)における第126回討論会が,web開催と現地開催を併用するという新しい形で実現することになります。この新たな試みは,単に事態の危険性を回避して安全を担保するためのものというだけではなく,今後の討論会の在り方自体を見直す機会になるものと思われますし,触媒学会から発信されるコンテンツの幅を広げることにもつながるものと確信しております。
次に,次世代の育成に関してです。次の世代が育たないと未来の触媒学会は成り立ちません。若い人たちの,学会活動への積極的な参加と意見を吸い上げることが重要であります。
触媒学会は,「若手会」としての学生会員を中心とした活動を奨励して参りました。いうまでもなくこのような活動をこれまで以上に続けていくことは必須です。一方で,10年後,20年後の触媒学会を支えリードしていく30代から40代の中堅会員の産学にまたがる学会活動や人的交流を促すことも極めて重要です。明日の触媒学会は彼らが担うのです。それが可能になるような具体的な仕組みを作っていきたいと考えています。
今年予定されていたICC(触媒国際会議)は延期になるという気配でありますが,それにもかかわらず,2024年ICCの日本招致に関しては,最大限の努力をお願いし,学会全体で機運を高めていきたいと思います。
基礎から応用まで多岐にわたり,分野を超えて境界領域を広げ,様々な研究や技術開発が存在することが触媒学会の大きな強みです。世代を越えた会員の皆様方の人と人とのつながりを深めることによってこの強みを分かち合いたい。皆様方からご意見をいただき,触媒学会のさらなる進化につなげたいと思っています。