ごあいさつ(2018年)

年頭のご挨拶

平成31年1月7日

平成30年度 触媒学会会長
福岡 淳
(Atsushi FUKUOKA)
(北海道大学)

 明けましておめでとうございます。
 昨年は西日本豪雨、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震などの自然災害の多い年でした。私も北海道の地震では大規模停電のため生活に大きな影響を受けました。この2019年が災害のない年になるように祈っております。

 昨年は学会創立60周年を迎え各種の祝賀行事が行われて成功裏に終了しました。改めて記念行事の実行委員諸氏のご努力に敬意を表すとともに、会員各位のご協力に感謝いたします。
 さて、会長に就任して半年が過ぎました。この間、私は触媒学会の活動として三つに重点を置いてきました。若手育成、国際交流および産官学連携です。
 若手育成については、最重要課題として取り組んできました。折あるごとに、春の討論会B講演での若手の発表を促してきました。この効果があったのかどうかは分かりませんが、次の第123回触媒討論会(大阪市立大学)では多数のB講演の申し込みがありました。是非、活発な討論を展開してもらいたいものです。また、私が所属する北海道大学触媒科学研究所との共同企画として、同研究所主催の情報発信型シンポジウムを1月に英国Cardiff大学で行います。ここに日本の若手研究者2名を招待する事業を始めました。海外の著名研究者が参加する会議で成果を発表する絶好の機会ですので、今後も継続したいと考えています。
 国際交流では、昨年8月に横浜でTOCAT8を行い、36か国から1085名の参加者があり大成功を収めました。日本には集客力があることが実証されましたので、これを2024年あるいは2028年の国際触媒会議(ICC)の日本誘致に結び付けたいと思います。すでに国際交流委員会のなかにWGを設けて活動を始めております。これとともに、学会HPの英語化について検討を続けています。
 産官学連携では、討論会春の特別シンポジウムが多くの参加者を集めています。研究のニーズを知る上でよい機会となっているのでしょう。このような企画が企業の個人正会員の増加につながり、会員数の減少に歯止めがかかればと期待します。また討論会秋の「企業研究者と学生の交流会」は、地方学生が企業情報を収集する場として好評を博しています。今後も継続して行っていく予定です。

 今年度は研究会の在り方について議論を行いました。まずは研究会代表の方々の会議を行い、自己および他研究会の状況を知ってもらうことから始めました。研究会の設置目的は、「触媒学会のさらなる活性化と発展のため、触媒・触媒作用が関わる新関連領域あるいは触媒化学における難題解決など焦点を絞った研究課題について、これに興味を持つ会員相互の情報交換および議論を通じて真理の追究あるいは問題解決の糸口を探り当てることのできる場として機能することを目的として研究会を設置する。」と規定されています。これを考慮すると、研究会は10年程度で改廃を含めて見直すべきと個人的には考えています。若手の発案で研究会を活性化あるいは新研究会の立ち上げをしてもらいたいものです。

 最後に、ICC誘致活動を始めたことを考え合わせると、今後10年が触媒学会にとって重要になります。世界を先導する触媒の学術・技術の開拓はもちろんですが、日本からの情報発信が重要であり、このために触媒学会は貢献できると考えます。そのために、中堅から若手の会員が学会の運営に積極的に関与することを期待します。

会長メッセージ

2018年6月15日

 このたび平成30年度の会長に選任されました。大役を仰せつかり責任の重さを感じておりますが、他の理事と協力して触媒学会の運営に取り組む所存です。会員の皆様のご協力をお願いします。

 触媒は化学反応を促進する物質として、資源・エネルギー変換および環境浄化などの分野において重要な役割を果たしています。近年、触媒の応用範囲は広がりをみせ、触媒の学術的な発展と技術的な展開に対する期待が高くなっています。本会の目的は、このように成長を続ける触媒の科学・技術に関する最新情報を交換する場として産官学の会員の便宜を図ることです。情報交換の場として触媒討論会と触媒誌の発行は本会の中核となる活動ですが、この二つについては常によりよいものにしていくように努力します。私は、触媒学会の活動を行う上では三つの観点、すなわち若手育成、国際交流および産官学連携が重要であると考えています。
 第一に、触媒の学術的な発展と技術的な展開を図る上で若手育成は最も重要です。これまで討論会のB講演は若手の登竜門の役割を果たしてきましたが、B講演が春の討論会のみの開催になり、また秋の討論会ではセッションに分かれるので、若手人材を見る機会が減りました。かつての秋の討論会BがセッションのA2講演になっているという指摘がありますが、多くの会員の目に触れる討論会Bでの若手の積極的な登壇を促し、切磋琢磨の場としての活用を奨励します。秋のセッションは研究会に運営をお願いしていますが、研究会の活動については、新しい学術・技術の芽を育てるテーマ設定になっているか、常に見直しが必要と思います。研究会の在り方について議論したいと考えております。
 次に、国際交流は世界に向けて会員諸氏の研究成果を発信するとともに、世界の研究動向を知る上で重要です。今年は8月に横浜でTOCAT8を行いますが、これを成功させて、将来の国際触媒会議(ICC)の日本誘致に向けて弾みとする所存です。
 さらに、産官学連携は研究のシーズとニーズの発掘につながります。討論会春の特別シンポジウムは、そのような場を提供するものとして好評をいただいている企画であり、さらに充実を図っていきます。触媒は課題解決型の研究分野であり、現在および将来の課題解決につながるべきです。産官学の連携により、日本発の触媒が世界の課題解決に貢献することを期待します。

 本年は触媒学会創立60周年にあたり、記念行事として式典・祝賀会、触媒誌記念号の出版などが行われます。会員の皆様と60周年を祝うとともに、触媒の学術と技術、および学会の発展のために議論を深めていきたいと考えます。触媒学会は、「率直な」意見の交換を特長とする学会です。本会の活動においても会員の皆様の「率直な」ご意見を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます。