ごあいさつ(2017年)

年頭のご挨拶

平成30年1月9日

平成29年度 触媒学会会長
江口 浩一
(Koich EGUCHI)
(京都大学)

 新年明けましておめでとうございます.
 皆様さわやかな気持ちで新年をお迎えのことと思います。私は年末年始京都で過ごしましたが天気に恵まれて、気持ちの良い日々を送ることができました。昨年は景気が徐々に上向きつつも、緊迫した国際情勢や異常気象など不安要素がある年でした。この一年が皆様にとって、良き年になりますことを心よりお祈り申し上げます.

  会長に就任して7か月が経ちました。理事や会員の皆様に支えられ、比較的順調に学会の運営をすすめることができたと感じております。首都大学での春の討論会、愛媛大学での秋の討論会とも非常に多数の講演、参加者を集めるなど順調に実績を重ねています。特に喜ばしいのは、夏の若手会の講演会が非常に多くの若い参加者を集めていることです。昨年の大津での若手会講演会に参加しましたが、ここ数年、会場を選択するのが困難なほど参加者多数となっています。スポーツや将棋など、最近、国内の多方面で若者の活躍のニュースに触れることが多いのですが、触媒学会でも是非、若い会員に将来に向かって活性化させていただくよう期待しています。

  秋の討論会に同時開催の「企業研究者と学生の交流会」も昨年2回目となり触媒学会の恒例の行事として定着しつつあります。就職活動を控えた会員学生や地元学生が、企業の研究者にからの生の情報に触れて、自身のキャリアプランや社会に出る心構えを考えるきっかけとして効果的に働いています。前回は4社(コスモ石油(株)、(株)日本触媒、三菱ケミカル(株)、マツダ(株))の研究者らが、各企業の説明だけでなく、会社における生きた情報に接する機会を与えてくれました。触媒学会のこのような活動が学生会員や地域の学生の将来設計の役に立てば幸いです。
  春の討論会での特別シンポジウムも好評で、例年の開催により軌道に乗ってきましたので、企画体制を強化して進めることになりました。2018年東京大学駒場キャンパスで開催の第121回討論会では2日目午後に,特別シンポジウム「始まった触媒インフォマティクス」及び「多様な炭素資源を活用したものづくりを支える触媒技術」という2テーマで産学官の第一人者に講演していただきます。触媒の分野で注目度の高いテーマあるいは将来重要となる領域のテーマから構成されています。第121回触媒討論会及び特別シンポジウムへのご参加をお願いいたします。

 触媒学会は今年で創立60周年を迎えます。これにあたって春の討論会における特別展示、「触媒」記念特集号の発刊、TOCAT8会期中にパシフィコ横浜で触媒学会60周年記念式典を開催します。式典、講演会などを行った後、祝賀会をTOCATのバンケットと共同で実施します。還暦にあたる60年で生誕の時に帰るという意味のとおり、触媒学会も新たな気持ちで生まれ変わることが期待されます。触媒分野における学術的な深化に寄与するとともに、触媒の応用、実用面でも有用な情報共有の場として働き、触媒の世界的な研究活動の中でも地位を築けるような学会を目指したいと考えています。

会長メッセージ

平成29年6月12日

 5月12日の平成29年度第1回理事会において会長に選任されました。1年間、触媒学会の運営と発展のために努力する所存ですので、よろしくご支援ご指導のほどお願いいたします。

 触媒学会の運営はこれまでの執行部のご尽力や会員の活発な活動のおかげで比較的順調です。討論会、支部活動、研究会、若手会等の学会活動も安定しています。しかしエネルギー、環境、資源などの触媒を取り巻く社会環境や触媒に対する要求、対象となる反応などは常に変化しており、これに柔軟に対応して時代の要求に追従し、さらには牽引していくことが重要と考えられます。一方、その時代の流行りの動向を追うだけではなく、学会として関連する学術情報や学理基盤を充実させることも求められます。前尾中会長も指摘されたように、そのような観点からも学と企業の協力が必要です。触媒は大学、研究所と企業などの興味や技術、思考の協力が必要不可欠な領域と考えています。企業の研究は理論的後ろ盾や学理面からの解析が必要であろうし、学の興味に現実性を与えることが相互の発展に寄与するのは間違いありません。産業界から学会のキーパーソンを多く育てるために、企業の会員も積極的に学会の運営に参加いただく機会を作っていきたいと考えています。触媒学会は前述の例年の恒常的活動に加えて、TOCAT、日韓シンポジウムをはじめとする国際活動をこれまで以上に活性化して進めていくことはもちろんです。その他の国際的な活動にも積極的に取り組んで、触媒学会の国際的なステイタスを確立することも求められるでしょう。このような観点からは国際触媒会議の開催誘致へのチャレンジも考える必要があります。

 本会は1958年の創立以来、来年で60年を迎えますので、本年はその準備の年です。2018年夏に横浜で開催されるTOCAT8に合わせて記念講演会など事業の開催を予定していますが、この記念講演会を触媒学会の60年を振り返って、また将来の方向性を探るような機会にしたいと考えています。会員の皆様にもいろいろな機会でご指導、ご協力をお願いすることになると予想されます。よろしくお願いいたします。